
統合失調症は、障害年金が認められやすい傷病のひとつです。
認定基準にも「予後不良の場合が多く、障害の状態に該当することが多い」という趣旨のことが書かれています。
それでも不支給になる方がいます。理由ははっきりしていて、いちばん生活に響いている症状が、書類に表れにくいからです。
“この記事でわかること”
- 統合失調症の認定基準(1級・2級・3級)
- 陰性症状が審査で効いてくる理由
- 病識がないことが不利に働く場面
- 長く通院している方はさかのぼれる可能性
目次
1.統合失調症の認定基準
| 等級 | 認定基準のいうところ |
| 1級 | 残遺状態や病状が高度で、人格変化・思考障害・幻覚・妄想などが著明なため、常に人の援助が必要な状態 |
| 2級 | 残遺状態や病状があり、人格変化・思考障害・幻覚・妄想などがあるため、日常生活が著しく制限される状態 |
| 3級 | 人格変化は著しくないが、思考障害や幻覚・妄想などがあり、働くことに制限がある状態 |
聞き慣れない残遺状態という言葉が出てきます。急性期が過ぎたあとに残る、意欲の低下や引きこもりといった状態のことです。
3級は障害厚生年金だけの等級です。初診日に国民年金だった方は、2級以上でなければ支給されません。
2.審査で効いてくるのは陰性症状です
統合失調症の症状は、大きく2つに分けられます。
| 陽性症状 | 陰性症状 |
| 幻聴・幻覚 被害妄想 興奮・支離滅裂な発言 | 意欲がわかない 感情の表出が乏しい 人との関わりを避ける 身の回りのことをしなくなる |
| 薬で治まることが多い | 薬が効きにくく、長く残る |
生活を実際に止めてしまうのは、多くの場合陰性症状のほうです。
ところが診断書や申立書では、目に見えやすい幻聴や妄想の話が中心になりがちです。「幻聴は薬で治まっています」とだけ書かれると、軽くなったと読まれます。
“陰性症状は、こう書くと伝わります”
- 一日のほとんどを横になって過ごしている
- 入浴や着替えを促されないとしない
- 家族以外とほとんど話さない
- 部屋の片づけや洗濯を家族がしている
- 食事は用意されたものを食べるだけ
診断書の日常生活能力の7項目は、まさにここを評価する欄です。
3.病識がないことが不利に働きます
統合失調症では、ご本人が困っていると感じていないことがあります。
診察で「どうですか」と聞かれて「大丈夫です」「困っていません」と答える。その結果、診断書が実態より軽く書かれてしまいます。
- 申立書はご家族が代わりに書くことができます(代筆者の欄に記入します)
- 診察にご家族が同席すると、家での様子が医師に伝わります
- 同席が難しければ、家での様子をメモにして渡すだけでも変わります
「家族が手伝っていることは、当たり前すぎて誰も書かない」というのが、この傷病でいちばんもったいない点です。
4.就労している場合
働いていても受給できます。ただしどう働いているかが見られます。
就労継続支援A型・B型、就労移行支援、障害者雇用で働いている場合は、援助を受けて働いていると評価されます。必ず書いてください。
くわしくは精神の障害年金|働いていても受給できる?をご覧ください。
5.初診日でつまずきやすいこと
5-1.発症が若く、20歳前のことがある
統合失調症は、10代後半から20代の発症が多い傷病です。
初診日が20歳より前にあれば、保険料の納付要件は問われません。学生時代に受診していた記憶があれば、必ず確認してください。
5-2.最初は不眠や不登校だった
「眠れない」「学校に行けない」で小児科や内科にかかっていた、というケースがよくあります。その受診が初診日になることがあります。
5-3.入院歴がある方は記録が残っています
精神科の入院記録は、外来のカルテより長く保管されていることがあります。あきらめる前に問い合わせてみてください。
初診日の調べ方は障害年金の初診日とは?にまとめています。
6.長く通院している方はさかのぼれる可能性があります
10年、20年と通院してこられた方は、障害認定日がずっと前にあります。
当時の診断書が取れて、そのころすでに2級の状態だったなら、最大5年分をまとめて受け取れます(2級で約420万円)。
統合失調症は入院を経ている方が多く、当時の診断書が取れるケースが比較的あります。
くわしくは認定日請求と事後重症請求のちがいをご覧ください。
7.まとめ
“この記事のポイント”
- 統合失調症は認められやすい傷病のひとつ
- 審査で効くのは幻聴や妄想より陰性症状
- 「困っていない」と答えてしまうため、家族の情報が要
- 20歳前に初診日があれば納付要件は問われない
- 通院歴が長い方は5年分さかのぼれることがある
ご本人だけで進めると、どうしても実態より軽い書類になりがちです。ご家族からのご相談も歓迎しています。
ご相談は無料です。診断書を受け取られた段階でお持ちいただくのがいちばん確実です。
