
障害年金は、「いま」の障害の重さだけで決まるわけではありません。
審査の対象になる日が法律で決まっていて、その日のことを障害認定日といいます。
障害認定日は、初診日が決まれば自動的に決まります。原則は初診日から1年6か月を経過した日です。
この日がいつになるかで、さかのぼって受け取れる年金が数百万円単位で変わることがあります。請求の前に必ず確認しておきたいポイントです。
“この記事でわかること”
- 障害認定日の数え方(月末など迷いやすいケース)
- 1年6か月を待たずに請求できる8つの特例
- 20歳より前に初診日がある場合の障害認定日
- 認定日のころに通院していなかったときの対処法
目次
1.障害認定日とは
障害認定日とは、障害の程度を判定する基準になる日のことです。次のどちらかになります。
- 初診日から1年6か月を経過した日
- 1年6か月以内に治った(症状が固定した)ときは、その日
「治った」というのは、日常の言葉とは意味が違います。これ以上治療を続けても良くならない状態(症状固定)のことで、完治した状態を指すのではありません。
1-1.なぜ障害認定日が大事なのか
障害年金は、障害認定日の時点で等級に当てはまっていれば、その翌月分からさかのぼって受け取れます。
たとえば5年前が障害認定日で、そのころすでに2級の状態だったなら、5年分(障害基礎年金2級なら約420万円)をまとめて受け取れる可能性があります。
逆に、障害認定日のことを知らずに「今の分だけ」で請求してしまうと、過去の分は戻ってきません。
2.障害認定日の数え方
数え方はシンプルで、初診日の1年6か月後の「同じ日」です。
例1 初診日が2024年4月1日 → 障害認定日は2025年10月1日
例2 初診日が2023年11月20日 → 障害認定日は2025年5月20日
2-1.1年6か月後に同じ日付がないとき
初診日が月末だと、1年6か月後に同じ日付が存在しないことがあります。その場合はその月の末日が障害認定日になります。
例 初診日が2024年8月31日 → 1年6か月後は「2026年2月31日」。この日は存在しないので、障害認定日は2026年2月28日(うるう年なら29日)
2-2.障害認定日が来る前に請求できるか
できません。障害認定日より前に請求書を出しても受け付けてもらえません。
ただし、障害認定日の3か月前から診断書を書いてもらうことは可能です。書類をそろえておいて、認定日が来たらすぐ提出する、という進め方はできます。
3.1年6か月を待たなくてよい特例
一定の状態になった場合は、1年6か月を待たずに障害認定日が来ます。次の8つです。
| 状態 | 障害認定日 |
| 人工透析を始めた | 初めて透析を受けた日から3か月経過した日 |
| 人工骨頭・人工関節を入れた | 挿入置換した日 |
| 心臓ペースメーカー・ICD・人工弁を入れた | 装着した日 |
| 人工肛門を造設した/尿路変更術を受けた | 手術した日から6か月経過した日 |
| 新膀胱を造設した | 造設した日 |
| 手足を切断・離断した | 切断・離断した日(障害手当金は傷口が治った日) |
| 喉頭を全部摘出した | 全摘出した日 |
| 在宅酸素療法を始めた | 療法を開始した日(常時使用の場合) |
この特例にあてはまる方は、初診日から1年6か月たっていなくても、すぐに請求できます。ご自身では気づかず、1年半待ってから相談に来られる方が少なくありません。
3-1.「症状が固定した」として早まる場合
上の8つ以外にも、医学的に症状が固定したと認められる場合は、1年6か月より前に障害認定日が来ることがあります。代表的なものは次の2つです。
- 脳血管障害による麻痺など……初診日から6か月経過した日以後で、これ以上の回復が期待できないと医師が認めたとき
- 遷延性植物状態……その状態になった日から3か月経過した日以後で、回復の見込みがないと認められたとき
ただし脳血管障害は、リハビリで回復が見込める段階だと症状固定とは認められません。この判断は診断書を書く医師によるところが大きく、実務では慎重な確認が必要です。
4.20歳より前に初診日がある場合
20歳前に初診日がある方は、次のどちらか遅いほうが障害認定日になります。
“20歳前に初診日があるときの障害認定日”
- 20歳に達した日(20歳の誕生日の前日)
- 初診日から1年6か月を経過した日
例1 15歳が初診日 → 1年6か月後は16歳6か月。20歳のほうが遅いので、20歳の誕生日の前日が障害認定日
例2 19歳6か月が初診日 → 1年6か月後は21歳。こちらが遅いので、21歳になる日が障害認定日
「20歳の誕生日の前日」という点にご注意ください。誕生日そのものではありません。
なお、初診日が18歳6か月より前にある場合は、何歳で初診を受けていても障害認定日は20歳で固定になります。くわしくは初診日の記事をご覧ください。
5.認定日のころに通院していなかったとき
障害認定日で請求するには、障害認定日の前後3か月以内に受診した記録をもとに書かれた診断書が必要です。
20歳前に初診日がある方は、20歳に達した日の前後3か月以内が対象になります。
5-1.よくあるつまずき
- 当時は通院を中断していて、受診記録がない
- 通院していた病院が廃院になり、カルテがない
- カルテの保存期間(5年)が過ぎていて、破棄されていた
この場合、障害認定日にさかのぼる請求はできません。今の状態で請求する事後重症請求に切り替えることになります。
事後重症請求は請求した月の翌月分からの支給です。さかのぼりはありません。
5-2.あきらめる前に確認したいこと
「認定日のころは通院していなかった」と思っていても、次のようなケースで診断書が取れることがあります。
- 前後3か月の幅があるので、1回でも受診があれば足りる
- 内科など、別の科で同じ傷病の相談をしていた
- 入院していた病院に看護記録が残っていた
まずはご自身の通院歴を書き出して、障害認定日の前後3か月に何かなかったかを確認してみてください。
6.さかのぼれるのは5年分まで
障害認定日が10年前でも、20年前でも、実際に受け取れるのは請求時点からさかのぼって5年分までです。それより古い分は時効で消えてしまいます。
くわしくは障害年金の時効は5年をご覧ください。
7.まとめ
“この記事のポイント”
- 障害認定日は原則初診日から1年6か月を経過した日(同じ日付。なければ月末)
- 透析・人工関節・ペースメーカーなど8つの特例があり、早く請求できる
- 20歳前に初診日がある場合は20歳の誕生日の前日と1年6か月経過日の遅いほう
- 認定日の前後3か月の診断書がないと、さかのぼりはできない
- さかのぼれるのは5年分まで
障害認定日は、書類の中では小さな一行ですが、受け取れる金額を大きく左右します。
「認定日のころの診断書が取れるかどうか」で迷われたら、判断がつく前にご連絡ください。ご相談は無料です。
