
障害年金を請求するためには、初診日を確定する必要があります。初診日が不明だったり証明できない場合は、請求そのものを受け付けてもらえません。
通常は病院に書類を作成してもらいますが、その書類が取れない場合もあります。
そんなときの手段が「第三者証明」です。
“この記事でわかること”
- 第三者証明とは何か
- 20歳前と20歳後で、証明力が大きく変わること
- 誰に書いてもらえるのか(親族はNG)
- 認められやすくなる書き方のコツ
目次
1.病院の書類が取れないとき
通常、初診日の証明として病院から「受診状況等証明書」という書類を取得します。
この書類に、発病から初診に至るまでの経緯と初診の日付を記載してもらうことで、初診日を証明できます。
ところが初診日が何年も前、場合によっては何十年も前ということがあります。そうすると、次のような事態が起こります。
- 初診の病院に当時のカルテが残っていない(カルテの保存義務は5年です)
- 病院自体が廃院になっている
この場合は、その次にかかった病院の受診状況等証明書を取得したうえで、さらに初診日を証明するための証拠を提出する必要があります。
証拠については調査を行います。他の病院の記録を調べたり、過去に取った診断書に初診日の記載がないかを確認したり、診察券やお薬手帳で証明できることもあります。
それでも、まったく何も出てこない場合があります。そのときに使うのが第三者証明です。
2.第三者証明とは
第三者証明とは、端的に言えば第三者による証言です。
「あの人は〇年×月から△△病院に通っていました」という形で知人・友人に証言をしてもらい、それを書面で申し立てるものです。
客観性に欠けるため、病院が作成した書類と比べると証拠力は落ちます。しかし第三者証明によって請求し、障害年金を受給した事例は少なくありません。
2-1.実際に認められた事例
難聴で2級に該当した方のケース
- 少年時代からずっと難聴で、10代の頃に何度か病院に行ったが、治らないため放置していた
- 現在は聴力がさらに落ち、2級に該当するとして障害年金請求のご相談にみえた
- 現在の診断書は取れたが、10代の頃の初診日が不明。何十年も前のことで本人も覚えていない
- 「当時ここに行ったかもしれない」という病院はすでに廃院
このままでは初診日の証明ができません。そこで、中学時代の友人と当時の担任の先生から証言をもらいました。
特に担任の先生が当時のことをよく覚えていて、「彼は当時から耳が悪かった。病院で診てもらうよう勧め、学校を休んで〇〇病院を受診した」という旨の証言をいただくことができました。
それを書面で提出したところ、中学時代に初診日があったことを認めてもらえたのです。
2-2.初診日が20歳前なら、第三者証明だけで認められます
上記の事例が認められたのは、証言がしっかりしていたこともありますが、初診日が20歳前だったことが大きな理由です。
20歳前の傷病による障害基礎年金を請求する場合は、他の客観的な資料がなくても、第三者証明だけで初診日を認めてよいという取り扱いになっています。
なぜかというと、20歳前の傷病による基礎年金は、通常の年金と違って「加入要件」と「納付要件」が問われないからです。
そのため、ある程度アバウトでも「20歳前に発病して、病院を受診していたこと」という事実さえ証明できれば、制度上は問題にならないことが多いのです。
2-3.それ以外の請求では「参考資料」にとどまります
初診日が20歳以降の障害基礎年金、または障害厚生年金を請求する場合、第三者証明は参考資料程度の扱いになります。
「加入要件」と「納付要件」を審査するために、初診日を厳密に確定する必要があるからです。
そのため「初診日について参考となる他の資料の提出を求め、両資料の整合性を確認」するという取り扱いにとどまっています。
では、どういう場面で使うのでしょうか。
例:うつ病で、初診が在職中か退職後かが確定できないケース
- 現在の診断書には「新卒で入社した職場のパワハラが原因でうつ病になり退職した。数年間〇〇病院に通院した後、当院を受診した」と記載がある
- 初診の病院のカルテはもうない
- この記載だけでは、発病が就職後なのは特定できても、初診日が就労中なのか退職後なのかが確定できない
請求にあたっては、初診日を年月日まで特定できなくても、最低限「初診日当時に加入していたのが厚生年金だったか、国民年金だったか」は明確にする必要があります。
そこで、当時の同僚から次のような証言をもらえたとします。
「彼は上司からパワハラを受け、〇〇病院の精神科に通院しながら働いていた。時々薬を飲んでいた。いろいろな面で配慮をしていたが、その後退職してしまった」
この第三者証明を診断書の記載と組み合わせることで、「就労中に通院を開始した=厚生年金の時期に初診があった」と認められる可能性が出てきます。
このように、第三者証明単独では認められなくても、他の客観的な資料と組み合わせて初診日を裏づけるという使い方になります。
3.第三者証明の要件と書き方
用紙は日本年金機構のサイトからダウンロードできます。記載例もついています。
基本的には記載例に沿って、氏名・本人との関係・傷病名・病院名や所在地などを書いていきます。ここでは、記載例だけではわかりづらい点を解説します。
3-1.申立の種類は3つあります
“第三者証明の形式”
- ア 初診日頃の受診状況を直接的に見て認識していた場合に、その受診状況を申し立てるもの
- イ 請求者や家族等から、初診日頃に受診状況を聞いていた場合に、その受診状況を申し立てるもの
- ウ 請求者や家族等から、請求時からおおむね5年以上前に初診日頃の受診状況を聞いていた場合に、その受診状況を申し立てるもの
端的に言えば、初診日の時点で「受診状況を直接見ていた」または「聞いていた」という形の証言になります。
注意が必要なのは、リアルタイムではなく過去の話として「10年前から〇〇病院の精神科に通っている」「中学の頃からずっと××病院に通っている」などと聞いていた場合です。
この場合は「請求日の5年以上前からすでに聞いていた」という証言でなければ認められません。
このような縛りがないと「請求のために作り話をして、それを証言してもらう」ことがいくらでもできてしまうからです。逆に請求時より5年以上前から聞いていたのであれば、障害年金の請求とは無関係に話していると考えられるため、信ぴょう性があるという捉え方をされます。
3-2.誰に書いてもらうか(親族はNGです)
- 信ぴょう性の問題から、原則として複数(二人以上)の第三者証明が必要とされています
- ただし、初診日当時の病院で働いていた医療従事者の証言など、相当程度に信ぴょう性の高い証言であれば一人でも可です
- 民法上の三親等内の親族による第三者証明は認められません
三親等とは、曾祖父母・曾孫・おじ・おば・甥・姪までの関係です。いとこは四親等なので認められます。
3-3.「申立者が知っている当時の状況等」の書き方
申立の内容は、用紙の下部にある「申立者が知っている当時の状況等」欄に記載します。記載例では、次の内容が求められています。
“記載が求められる内容”
- ① 初診日頃の受診状況を知り得た状況
- ② 発病から初診日までの症状の経過
- ③ 医療機関の受診契機
- ④ 初診日頃における請求者の日常生活上の支障の程度
- ⑤ 医師からの療養の指示など、受診時の状況
すべてきっちり埋める必要はありません。わかる範囲で書けばよいとされています。
そして、このとき「どうして初診日の時期が特定できたのか」という理由があれば、あわせて書くことをおすすめします。
- × 「この人が初めて病院に行ったのは平成23年3月12日です。覚えています」
→ これだけでは信ぴょう性が薄い - 〇 「東日本大震災の翌日だったからよく覚えています」
→ 「なぜ覚えているか」の裏づけが加わると、認められやすくなります
4.まとめ
第三者証明は、書類がどうしても取れない場合に使う手段ですが、これで認められた事例はいくつもあります。
病院が廃院になったり、カルテが残っていなかったりすると、請求自体をあきらめてしまう方も多いです。
100%認められるわけではありませんが、こういう方法もあるということを知っておいてください。
初診日の証明でお困りのときは、お気軽にご相談ください。ご相談は無料です。
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