
「子どもの頃から療育手帳をもっているのに、障害年金は不支給になってしまった……」
「軽度の知的障害だけど、一般企業での仕事が続かず困っている。本当に受給できないの?」
知的障害(精神遅滞)は、基本的には国が定めた障害等級に該当すれば、障害年金を受給しやすい傷病とされています。
しかし、大人になってから請求する際、あるいは「軽度知的障害」のケースにおいて、思わぬ理由で不支給(または3級)判定を受けてしまう落とし穴が存在します。
“この記事でわかること”
- 療育手帳と障害年金は、まったく別の基準であること
- A型・B型や障害者雇用でも「働けている」とみなされる理由
- 診察室で起きる「できる/できない」のすれ違い
- 不支給を防ぐ2つの具体的な対策
目次
1.落とし穴① 「療育手帳をもっているから安心」という誤解
最も多い誤解が、「療育手帳(愛の手帳など)をもっているから、障害年金も当然もらえるはず」という思い込みです。
実は、療育手帳を発行する「自治体(都道府県)」の基準と、障害年金を審査する「国(日本年金機構)」の基準は、完全に別物です。
- 療育手帳が「中度(B1など)」であっても、障害年金は不支給(または3級)になることがある
- 手帳の判定基準は主にIQ重視。障害年金は「実生活でどれだけ他人の援助が必要か」を重視する
「手帳があるから大丈夫」と油断して、日常生活の困難さを書類で十分にアピールできないと、不支給通知が届くことになります。
2.落とし穴② 福祉的就労や障害者雇用でも「働けている」とみなされる壁
知的障害のある方が、就労継続支援(A型・B型)や企業の障害者雇用枠、特例子会社などで働いているケースは多くあります。
これらはすべて「配慮やサポートがあるからこそ成り立っている就労」です。
しかし、提出した診断書や申立書に「週5日勤務」「月収◯万円」といった数字だけが一人歩きしてしまうと、年金機構の審査官に「一般人と変わらず自立して働けている」と誤解され、2級不該当(不支給)とされるケースが後を絶ちません。
特に軽度知的障害の方で、一般企業に一般雇用として勤めているものの、実際にはミスを連発してクビ寸前だったり、周囲の多大なフォローでかろうじて席があるような場合。その「現場のリアルな支障」が書類に書かれていないと、ほぼ確実に不支給になります。
3.落とし穴③ 医師に伝わらない「できること」と「できないこと」のギャップ
知的障害の診断書を書いてもらう際、主治医とのコミュニケーションで失敗するケースが非常に多いです。
診察室で起きていること
- 本人が一人で診察室に入ると、「最近はどう? ご飯は食べてる?」という質問に対し、質問の意図を正しく汲み取れずに「はい、食べてます」と答えてしまう(実はコンビニ弁当ばかり、または親が作ってくれたもの)
- ご家族が同行していても、先生の前で「本人が傷つくから」「恥ずかしいから」と、できないことを包み隠さず話すのを躊躇してしまう
結果として、診断書の「日常生活能力」のチェック欄が実態よりも軽く(一人でできる風に)書かれてしまい、不支給に直結してしまうのです。
4.不支給を防ぐ2つの対策
知的障害での不支給を防ぐカギは、「手帳の等級(IQ)だけに頼らず、日常生活や職場の『援助の実態』を客観的に証明すること」です。
4-1.「親や周囲の手助け」をすべて具体化して医師に伝える
「食事はできる」ではなく、「誰の、どのような手助けがあって成り立っているか」を具体的にメモにして医師に渡しましょう。
- × 食事はできる
- 〇 親が用意すれば食べられるが、一人では献立を考えたり火を使って調理することはできない
- 〇 金銭管理ができず、あればあるだけ使ってしまう
4-2.職場の上司や支援員から「勤務状況の申立書」をもらう
働いていることがマイナス評価されないために、就労先の上司や担当支援員に、次の点を記した書面を作ってもらい、請求時に添付します。
- どのような業務上の支障が出ているか
- 会社としてどんな特別な配慮をしているか(つきっきりの指導、作業の単純化など)
これが「自立して働けているわけではない」という強力な証明になります。
5.まとめ
知的障害の障害年金は、ご本人が成人(20歳)になるタイミング、または就職して壁にぶつかったタイミングで請求することが多い傷病です。
「軽度だから無理かもしれない」「働いているからあきらめていた」というケースでも、周囲のサポート実態を正しく書類に翻訳すれば、2級以上の受給が認められる可能性は十分にあります。
当事務所では、ご家族や学校・職場・福祉施設の支援員さんからのヒアリングを徹底し、審査官に一目で伝わる書類作成をサポートしています。
大切なご家族の将来の安心のためにも、ぜひ一度お気軽にご相談ください。ご相談は無料です。
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