
「障害年金を請求したいけれど、自分は本当にもらえるの?」「もらうための条件を知りたい」といったご質問を多くいただきます。
障害年金は、病気やケガで仕事や日常生活に支障がある方の生活費を補う制度ですが、誰でも受給できるわけではなく、いくつかの条件があります。
また「周りの人にもらえないと言われた」「請求は難しいと聞いて不安」といった声もよく耳にします。
この記事では、実際によくいただくご質問に、初診日・納付要件・障害の状態・請求手続きの4つに分けてお答えします。
1.初診日について
障害年金を請求する際には、まず初診日を正確に特定する必要があります。この初診日の特定でつまずいてしまう方は少なくありません。
Q1-1.「初診日」がいつかを聞かれました。よくわからないので教えてください。
A.障害年金の初診日とは、「請求する病気やケガに関して、初めて病院に行って診察を受けた日」です。
同じ病気で複数の病院を受診している場合は、一番最初にその病気で受診した病院の日が初診日となります。
【注意が必要なケース】
たとえば精神疾患の方が頭痛などで内科を受診し、そこで「精神的なものだから心療内科に行った方が良い」と言われたとします。
その後、症状が悪化して障害年金を請求する場合、この方の初診日は内科で初めて診察を受けた日になります。
つまり請求する病気のきっかけとなった症状について、最初に診察を受けた日が初診日となるのです。
ただし、単なる頭痛や不眠で受診していただけであれば、それがうつ病の初診日とはみなされないこともあります。この場合、頭痛や不眠という症状とうつ病との間に「相当因果関係」があるかどうかが判断のポイントとなります。
初診日は、障害年金を受けられる資格があるか/障害厚生年金か障害基礎年金か/いつから年金をもらう権利が発生するかを決める非常に重要な日です。
▶ 詳しくは 障害年金の初診日の考え方 をご覧ください。
Q1-2.初めて病院に行ったのは20年近く前です。古いので障害年金は無理だとあきらめていましたが、可能性はありますか?
A.可能性はあります。あきらめる前にご相談ください。
障害年金の請求では、原則として初診日を書類で確定する必要があります。
病院のカルテの保存期間は5年と定められているため、古い場合はカルテが残っておらず、初診日の特定が難しいケースもあります。
しかし、カルテが残っていなくても、受診した記録が会計データなどに残っていることがあります。また、他の病院の診療録などから受診した事実を証明できる場合もあります。
当センターでは、初診の病院のカルテがなかったり、廃院になっていたりするトラブルがあったケースでも、多くの方が請求にこぎつけています。
2.保険料の納付要件について
障害年金を受給するには、一定期間、年金保険料を納めている必要があります。この納付要件を満たしていない場合、障害年金は支給されません。
Q2-1.生活が苦しく1年前から国民年金を払えていません。滞納状態でも障害年金を請求できますか?
A.請求できる可能性は十分あります。判断されるのは「今」ではなく「初診日の前日時点」の納付状況だからです。
言い換えれば、初診日以降にいくら未納があっても請求は可能です。また、全期間について納付する必要もありません。
以下のいずれかの要件を満たしていれば請求可能です。
“納付要件(どちらかを満たせばOK)”
- 2/3要件:初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの公的年金制度に加入すべき全期間のうち、2/3以上の期間が保険料納付済または保険料免除済であること
- 直近1年要件:初診日の属する月の前々月からさかのぼった1年間に未納がないこと(初診日が令和18年3月31日までの特例)
ご相談者様の場合、初診日の前日時点で上記のいずれかを満たしていれば、現在滞納があっても年金請求は可能です。
経済的な余裕がなく保険料が払えない場合は、保険料免除申請の手続きをすると、その期間が納付済み期間としてカウントされます。一部免除の場合も、減額された保険料を納付すればカウントされます。
何らかの事情で納付が困難になることもありますが、その場合でも未納状態を続けずに、免除や納付特例を申請しておく方が賢明です。
▶ 詳しくは 障害年金の保険料の納付要件 をご覧ください。
Q2-2.障害基礎年金2級を受けていて保険料が法定免除されています。将来の年金は減ってしまいますか?
A.老齢基礎年金の額は低くなる可能性がありますが、「法定免除を受けたから損」という話ではありません。
法定免除の期間中は、老齢基礎年金の受給資格期間には反映されますが、金額には国庫負担分(現在は1/2)しか反映されません。そのため、老齢基礎年金の金額が低くなってしまう可能性があります。
ただし法定免除は、あくまで「年金を1円も払っていないのに、半分払ったことにしてもらえる」という制度です。
また、法定免除を受けた場合は10年間までさかのぼって追納することができますので、「いったん法定免除を受けておいて、後日働けるようになってから追納する」という選択肢もあります。
同様に、60歳以後も任意加入することで、最大5年分の年金を積み立てることもできます。
なお、障害年金は65歳を過ぎても受給が可能です。「65歳を過ぎても2級以上の障害年金をもらい続けることが明らか」という場合は、障害基礎年金を選択すればよいだけなので、気にする必要はないかもしれません。
3.障害の状態について
就労や日常生活に支障が出ていれば、基本的に障害年金の対象になります。認定基準に明確に書かれているものもあれば、あいまいなものもあり、ご自分では判断がつかないことが多いと思います。
Q3-1.パニック障害では障害年金はもらえないと聞きましたが、本当でしょうか?
A.原則として対象外ですが、請求が可能になるケースが2つあります。
パニック障害に限らず、適応障害や社交不安障害などの神経症は、原則として障害年金の対象となりません。ただし次の場合は請求が可能になります。
- うつ病などの精神疾患と併発している場合
精神疾患の病名を併記してもらうことで請求が可能になります - 臨床症状から判断して、精神病の病態を示している場合
統合失調症またはそううつ病に準じて取り扱うものとされています。傷病名はパニック障害などのまま、診断書に「精神病の病態を示している」旨を記載してもらうことで請求が可能になります
Q3-2.障害の程度が軽い場合に一時金としてもらえる制度があると聞きました。教えてください。
A.障害手当金という、厚生年金限定の制度です。
以下の4つの要件すべてに該当した場合に支給されます。
“障害手当金の4つの要件”
- 厚生年金保険の加入中に初診日があり、納付要件を満たしていること
- 初診日から5年以内にその病気やケガが治る(症状が固定する)こと
- 病気やケガが治った時に、一定の障害の状態にあること
- 病気やケガが治ってから5年以内に請求すること
「一定の障害」とは、おおむね以下の表に該当するものです(別表第2/第3条の9関係)。たとえば「一上肢のひとさし指を失ったもの」などが該当します。

なお、障害手当金を受給するには、診断書に「傷病が治っており、症状が固定している」ことを明記してもらう必要があります。
Q3-3.私は難病で何年も苦しんでいますが、障害年金は受けられるのでしょうか。
A.対象になる可能性が高いです。障害年金の対象とならない傷病は、ごく一部だけです。
対象とならないのは、風邪などの短期的に治るもの、老化や廃用、神経症や人格障害などに限られます。
それ以外の傷病で就労や日常生活に支障が出ている場合、基本的に障害年金の対象になります。以下は対象となる傷病の一例です。これ以外にも多くの傷病やケガが対象になります。
| 眼 | ぶどう膜炎、緑内障(ベーチェット病によるもの含む)、白内障、眼球萎縮、網膜脈絡膜萎縮、網膜色素変性症、網膜剥離、腎性網膜症、糖尿病網膜症 |
|---|---|
| 聴覚、平衡機能 | 感音難聴、突発性難聴、神経性難聴、メニエール病、頭部外傷または音響外傷による内耳障害、毒物中毒による内耳障害 |
| 鼻腔 | 外傷性鼻科疾患 |
| 口腔・言語 | 上顎がん、上顎腫瘍、咽頭腫瘍、喉頭全摘出手術、失語症、脳血栓(言語)など |
| 肢体の障害 | 事故によるケガ(人工骨頭など)、骨折、変形性股関節症、脊髄性小児麻痺、脳性麻痺、脊柱の脱臼骨折、脳軟化症、くも膜下出血、脳梗塞、脳出血、上肢または下肢の切断障害、重症筋無力症、上肢または下肢の外傷性運動障害、関節リウマチ、ビュルガー病、進行性筋ジストロフィー、ポストポリオ症候群 |
| 精神障害 | うつ病、そううつ病、統合失調症、てんかん、知的障害、発達障害、アスペルガー症候群、高次脳機能障害、老年期・初老期の認知症、アルツハイマー病など |
| 呼吸器疾患 | 気管支喘息、慢性気管支炎、肺結核、じん肺、膿胸、肺線維症、肺気腫、呼吸不全など |
| 循環器疾患 | 心筋梗塞、心筋症、僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症、先天性心疾患など |
| 腎疾患 | 慢性腎炎、慢性腎不全、糖尿病性腎症、ネフローゼ症候群、慢性糸球体腎炎など |
| 肝疾患 | 肝炎、肝硬変、肝がんなど |
| 糖尿病 | 糖尿病(難治性含む)、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症など、糖尿病性と明示されたすべての合併症 |
| 血液 | 再生不良性貧血、溶血性貧血、血小板減少性紫斑病、凝固因子欠乏症、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、HIV感染症 |
| その他 | 人工肛門、人工膀胱、尿路変更、クローン病、潰瘍性大腸炎、化学物質過敏症、周期性好中球減少症、乳がん・子宮頸がん・膀胱がん・直腸がん等のがん全般、悪性新生物、脳脊髄液減少症、悪性高血圧、その他難病 |
Q3-4.障害認定日に障害の程度が軽かった場合、もう障害年金は受けられないのでしょうか?
A.後から重くなった時点で請求できます。これを「事後重症請求」といいます。
障害年金の請求は、原則として障害認定日(初診日から1年6か月経過した日、または症状が固定した日)の障害状態で請求するのが基本です。
しかし実際には、認定日の時点で障害が軽かったり、制度を知らなかったために請求できなかった方が非常に多くいらっしゃいます。
認定日に請求ができなかった場合でも、その後に障害状態に該当したときは、その時点で請求することができます。
- 事後重症請求は認定日以後いつでも可能。ただし65歳に達する日の前日までが期限
- 現在の障害の状態を表す診断書が1通必要
- 認められた場合、年金は請求月の翌月から支給される
4.請求について
障害年金の請求は、誰もが初めて行うものです。誤った情報に惑わされず、正確な基礎知識を持つことが大切です。
Q4-1.「働いていると障害年金はもらえない」と言われました。本当ですか?
A.「就労していると障害年金がもらえない」という規定はありません。
ただし、障害の種類と就労状況によっては、障害の認定に影響することがあります。
手足の障害など外部障害の場合はほとんど関係ありませんが、内臓の疾患や精神の疾患の場合は「働けるということは障害が軽いのではないか?」とみなされてしまう可能性があるからです。
▶ 詳しくは 働きながら障害年金をもらうにはどうすればいい? をご覧ください。
Q4-2.制度を知らず、障害認定日を何年も過ぎてしまいました。今までの分はもう受給できないのでしょうか?
A.さかのぼって5年分まで請求できます。
障害認定日に障害の程度に該当していたにもかかわらず、制度を知らずに請求をしなかった場合でも、5年分までさかのぼって請求することができます。この請求方法を認定日請求(遡及請求)といいます。
認定日から請求日が1年以上あいている場合は、障害認定日時点の診断書と現在の診断書を提出し、両方の状態について審査を受ける必要があります。
Q4-3.相談したいのですが、どういう費用がかかりますか?
A.当センターでは相談料は無料です。
通常はご来所いただき、詳しいお話をうかがって受給判断などを行いますが、その時点でお客様にかかる費用は0円です。
代行サポートをご依頼いただいた場合のみ契約書を交わしていただき、その時点からサポート料金が発生します。原則として事務手数料は先払い、成功報酬は障害年金が支給された後にいただきます。
したがって、経済的に苦しい・困っているという方でも安心してサポートを受けることができます。
※障害年金の受給が決まると、通常は最初の振込で3か月分~の年金がまとめて振り込まれます。その中からサポート費用をお支払いいただくため、「障害年金が受給できたのに、なかなかお金が入ってこない…」ということにはなりません。
▶ サポート料金表は こちら をご参照ください。
ご不明な点があれば、どうぞお気軽にご相談ください。
