
障害年金の額は、等級によって決まります。しかし障害の状態は一定ではなく、受給が決まった後に症状が悪化することもあります。
更新の際に障害増進とみなされて等級が上がることもありますが、更新は数年に1回しかありません。逆に言えば、数年に1回しか等級を審査してもらえないということです。
また、永久認定といって更新の手続き自体がない方もいます。その場合、障害状態が重くなっても等級が上がることはなく、ずっと低いままの年金が支給され続けることになります。
そのような方のために用意されている手続きが額改定請求です。
“この記事でわかること”
- 額改定請求とは何か、何を提出するのか
- 「いつから請求できるか」の数え方(ここが一番ややこしい部分です)
- 1年待たずに請求できる特例の対象一覧(27項目)
目次
1.額改定請求とは
障害の程度が重くなったときに、年金の等級を変更して年金額の増加を申し出る手続きです。
具体的には、現時点での診断書を作成し、「障害給付額改定請求書」と併せて提出します。
<障害給付額改定請求書> ※クリックで拡大
2.額改定請求ができる条件
額改定請求は、3級→2級、2級→1級のように、現在の障害状態が上位に該当する場合に可能になります。
ただし、障害厚生年金の3級で、過去に2級以上に該当したことのない方については、65歳以降の額改定請求は認められません。
さらに、次の期間制限が設けられています。
“額改定請求ができるのは、次の日以降です”
- 年金を受ける権利が発生した日から1年を経過した日
- 障害の程度の診査を受けた日から1年を経過した日
たとえば権利が発生した日が令和4年7月15日なら、1年を経過した日である令和5年7月16日から額改定請求が可能になります。
この「権利が発生した日」「診査を受けた日」がわかりづらいので、ケース別に説明します。
2-1.新規の裁定請求を行った場合
裁定請求を行った場合は、受給権の発生からカウントして1年待つ必要があります。
| 請求方法 | 額改定請求ができるのは |
|---|---|
| 認定日請求で受給権が発生 | 「障害認定日」から1年経過後 |
| 事後重症請求で受給権が発生 | 「裁定請求受付日」から1年経過後 |
また、認定日と請求日が1年以上あいている場合は、認定日請求と事後重症請求を同時に行うことになります。その場合は次の2パターンに分かれます。
| 認定日請求と事後重症請求の等級 | 「権利が発生した日」と、請求できる時期 |
|---|---|
| 同じ場合 | 認定日が「権利が発生した日」 → いつでも額改定請求が可能です |
| 異なる場合 | 請求受付日が「権利が発生した日」 → 請求受付日から1年経過後に可能です |
2-2.更新手続きを行った場合
更新の場合は、「障害の程度の診査を受けた日」から1年を経過した日に額改定請求が可能になります。
「診査を受けた日」がいつなのかは、更新の結果によって変わります。
| 更新の結果 | 「診査を受けた日」(この日から1年経過後に額改定請求ができます) |
|---|---|
| 等級が上がった | 更新月の初日 |
| 等級が下がった | 更新月の3か月後の初日 |
| 等級の変化がなかった | 診査はされなかったとみなされ、いつでも額改定請求が可能 |
2-3.額改定請求を行った場合
額改定請求を行った場合は、請求受付日が「診査を受けた日」として扱われます。
そのため等級が変わったかどうかにかかわらず、請求受付日から1年を経過した後に再度の額改定請求が可能になります。
3.1年待たずに請求できる特例
特定の障害については、権利が発生した日または診査日から1年を待たずに額改定請求ができる特例があります。
この特例の対象になる場合は、上位等級に該当した時点ですぐに額改定をすることで、年金を少しでも早く増やすことが可能になります。
以下が、特例の対象になる障害の一覧です。
(眼の障害)
| 1 | 両眼の視力がそれぞれ0.03以下のもの |
| 2 | 一眼の視力が0.04、他眼の視力が手動弁以下のもの |
| 3 | 両眼の視力がそれぞれ0.07以下のもの |
| 4 | 一眼の視力が0.08、他眼の視力が手動弁以下のもの |
(視野の障害)
| 5 | ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のⅠ/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつⅠ/2視標による両眼中心視野角度が28度以下のもの |
| 6 | 自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が20点以下のもの |
| 7 | ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のⅠ/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつⅠ/2視標による両眼中心視野角度が56度以下のもの |
| 8 | ゴールドマン型視野計による測定の結果、求心性視野狭窄又は輪状暗点があるものについて、Ⅰ/2視標による両眼の視野がそれぞれ5度以内のもの |
| 9 | 自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が40点以下のもの |
(聴覚・言語機能の障害)
| 10 | 両耳の聴力レベルが100デシベル以上のもの |
| 11 | 両耳の聴力レベルが90デシベル以上のもの |
| 12 | 喉頭を全て摘出したもの |
(肢体の障害)
| 13 | 両上肢の全ての指を欠くもの |
| 14 | 両下肢を足関節以上で欠くもの |
| 15 | 両上肢の親指および人差し指または中指を欠くもの |
| 16 | 一上肢の全ての指を欠くもの |
| 17 | 両下肢の全ての指を欠くもの |
| 18 | 一下肢を足関節以上で欠くもの |
| 19 | 四肢または手指若しくは足指が完全麻痺したもの(脳血管障害または脊髄の器質的な障害によるものについては、当該状態が6月を超えて継続している場合に限ります) |
(心臓・腎臓の障害)
| 20 | 心臓を移植したものまたは人工心臓(補助人工心臓を含む)を装着したもの |
| 21 | 心臓再同期医療機器(心不全を治療するための医療機器をいう)を装着したもの |
| 22 | 人工透析を行うもの(3月を超えて継続して行っている場合に限る) |
(その他の障害)
| 23 | 6月を超えて継続して人工肛門を使用し、かつ、人工膀胱(ストーマの処置を行わないものに限る)を使用しているもの |
| 24 | 人工肛門を使用し、かつ、尿路の変更処置を行ったもの(人工肛門を使用した状態および尿路の変更を行った状態が6月を超えて継続している場合に限る) |
| 25 | 人工肛門を使用し、かつ、排尿の機能に障害を残す状態(留置カテーテルの使用または自己導尿を常に必要とする状態をいう)にあるもの(これらの状態が6月を超えて継続している場合に限る) |
| 26 | 脳死状態(脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止するに至った状態をいう)または遷延性植物状態(意識障害により昏睡した状態にあることをいい、当該状態が3月を超えて継続している場合に限る)となったもの |
| 27 | 人工呼吸器を装着したもの(1月を超えて常時装着している場合に限る) |
4.まとめ
額改定請求を行うためには、認定基準を知ることも大事ですが、「いつから行うことができるか」も同じくらい大事です。可能な限り速やかに行うことで、少しでも多くの年金を得ることができるからです。
とはいえ、自分が上位等級に該当するのか、いつから請求できるのかを正確に知ることは非常に困難です。
「自分の障害が重くなったかもしれない」と感じた場合は、一度ご相談ください。ご相談は無料です。
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