
障害年金を受給している方から、こんなご相談をいただくことがあります。
「更新で止まることはありますか?」
「ずっと受給できると思っていたのですが…」
「診断書を書いてもらえば大丈夫ですよね?」
障害年金は、一度認定されれば永久に受給できるとは限りません。
有期認定(更新がある方)の場合、更新時の診断書の内容によっては等級変更や支給停止となることがあります。
“この記事でわかること”
- 永久認定と有期認定のちがい
- 更新時期はどこで確認できるか
- 更新で止まってしまう4つの原因
- 支給停止を防ぐために、今からできる3つの対策
目次
1.障害年金の更新とは?
障害年金には大きく分けて、永久認定と有期認定があります。
1-1.永久認定(更新の手続きがないケース)
障害の状態が固定しており、将来的に改善する可能性が低いと判断された場合の認定です。この場合は原則として、その後の更新手続き(診断書の提出)は一切必要ありません。
永久認定になりやすい代表例
- 手足の切断や離断
- 失明
- 人工関節や人工骨頭の挿入(※状態や部位により有期認定になるケースもあります)
- 人工肛門の造設や尿路変更手術を行った場合
- その他、脳血管障害による重度の麻痺や、生まれつきの知的障害など、これ以上状態が変わらないと医学的に判断される障害
ただし「永久認定=絶対に見直しがない」という意味ではありません。障害状態が悪化した場合には、額改定請求を行うことができます。
1-2.有期認定(1年~5年ごとに更新があるケース)
将来的に症状が改善したり悪化したりする可能性があると判断された場合の認定です。障害年金受給者の多くはこちらに該当します。
精神疾患、がん、難病、内科的な疾患など「時間の経過や治療によって症状が変化する可能性がある」と判断された場合は、有期認定となります。
有期認定の場合は1年~5年ごとに診断書を提出し、その時点の障害状態を日本年金機構(認定医)によって審査されます。この提出する診断書を「障害状態確認届」といいます。
なお更新期間は「精神疾患だから1年」「人工透析だから5年」というように病名だけで決まるわけではありません。
認定医が現在の症状・治療経過・今後の改善可能性・これまでの病歴などを総合的に判断して決定します。
1-3.更新時期はどこで確認できる?
更新時期は年金証書の「次回診断書提出年月」に記載されています。
“更新のスケジュール”
- 誕生月の3か月前の月末頃 日本年金機構から「障害状態確認届(診断書)」が届きます
- 誕生月の末日まで 医師に診断書を作成してもらい、提出します
更新の結果は、「引き続き同じ等級で受給」「等級変更」「支給停止」のいずれかが決定されます。
2.更新で止まってしまう4つの原因
2-1.症状が改善した(良くなった)と判断された
最も多いケースです。たとえば次のような場合です。
- うつ病で休職していたが、フルタイムで復職している
- 双極性障害の症状が安定している
- 人工関節の術後に、日常生活上の制限が少なくなった
実際には苦労しながら働いていても、診断書上で「症状は安定」「日常生活に大きな支障なし」と記載されると、障害状態が軽くなったと判断される可能性があります。
体調が良くなることは素晴らしいことですが、「実際はまだ辛いのに、書類上だけで『良くなった』と誤解されてしまうケース」が後を絶ちません。
2-2.診断書の記載内容が、実態より軽くなっている
更新で非常に多いのがこのケースです。
診察の際につい「最近調子がいいです」「働きたい」「旅行に行きたい」などと言ってしまったり、医師が普段の日常生活の困りごとを詳しく把握していなかったりすると、実際の状況が診断書に反映されず、支給停止につながることがあります。
| ご本人の実際の状態 | 診断書の記載 |
|---|---|
| 一人で外出できない 家事ができない 人との交流が苦手 就労の継続が困難 | 身の回りのことはできる 通院は一人で可能 日常生活はおおむね自立 |
精神疾患や発達障害の場合、診断書の内容が結果を大きく左右します。
2-3.就労状況が大きく変化した
精神の障害では特に重要です。次のような状況になると、「労働能力が回復した」と判断される可能性があります。
- フルタイム勤務になった
- 責任ある業務を担当している
- 配慮なく就労できている
ただし働いている=必ず支給停止、ではありません。実際には、次のような場合は受給継続となるケースもあります。
- 支援を受けながら働いている
- 頻繁な欠勤や遅刻がある
- 業務内容が限定されている
2-4.書類の提出期限を過ぎてしまった
誕生月の3か月前に届く「障害状態確認届」を、期限(誕生月の末日)までに提出しないと、一時的に年金の支払いが差し止められます。
※遅れても提出して審査が通れば、基本的にはさかのぼって再開されます。
3.支給停止を防ぐために、今からできる3つの対策
3-1.普段から医師に「できないこと」を正確に伝える
自分でうまく伝えられない方は、調子が悪いときの状態や、家族のサポート内容をメモにまとめ、診察時に医師に手渡す習慣をつけておくと、診断書の良い参考資料になります。
診察時に家族に付き添ってもらい、直接医師に話をしてもらうのも効果的です。
3-2.就労している場合は「周囲の配慮」を明確にする
働いているからといって、即支給停止になるわけではありません。
「職場の理解があり、短時間しか働けない」など、『配慮があるからこそ、辛うじて働けている状態』を正しく伝えることが重要です。
医師に伝えておきたいこと
- どんな配慮を受けているか
- 周りの人との会話はできているか
- 指示された仕事はできているか
- 仕事中に困っていること
3-3.前回の診断書のコピーを保管しておく
前回提出した「診断書のコピー」は必ず保管しておきましょう。
今回の診断書と比較して、内容が急に軽くなっていないかを提出前にチェックするためです。
4.まとめ
万が一、更新の結果「支給停止」になってしまっても、あきらめる必要はありません。
“支給停止になっても、打つ手はあります”
- 決定に不服がある場合は、通知を知った日の翌日から3か月以内に「審査請求(不服申し立て)」ができます
- その後さらに症状が悪化した場合は、「支給停止事由消滅届」を提出して再開を求めることも可能です
障害年金の更新は、今の自分の状態を国に正しく伝える大切な機会です。
少しでも不安がある方や、「年金証書の次回更新時期の見方がわからない」という方は、一人で抱え込まずにお気軽にご相談ください。ご相談は無料です。
