
世間一般では「手や足を切断したり、動かなくなった場合は障害年金の対象になる」というイメージが強いようです。
しかし指の場合は該当しないと思っている方も多いのではないでしょうか。
実は指の障害でも障害年金の対象になる場合があります。
“この記事でわかること”
- まず覚えたい4つの用語(欠くもの/用を全く廃したもの/失ったもの/用を廃したもの)
- 等級別の早見表
- 手指・足指それぞれの認定基準
- 切断の場合は1年6か月待たずに請求できること
目次
1.まず覚えたい4つの用語
指の障害は用語が多く、認定基準を読み解くのが難しい分野です。同じ「指の切断」でも、どこで切断したかによって呼び方と等級が変わります。
| 記号 | 用語 | 意味(重い順) |
|---|---|---|
| × | 欠くもの | 指が基部(根元)から無くなって、有効長が0のもの |
| × | 用を全く廃したもの | 指があっても、ないのと同じくらいの機能障害 |
| △× | 失ったもの | 指を近位指節間関節(第二関節)以上で欠くもの ※親指は指節間関節(第一関節)以上 |
| △ | 用を廃したもの | 欠損:指の末節骨(第一関節の先にある骨)を半分以上失ったもの 機能障害:指の付け根の関節、または第二関節(親指は第一関節)の可動域が1/2以下に制限されたもの |
2.等級の早見表
| 等級 | 手指 | 足指 |
|---|---|---|
| 1級 | 両手10指 × | - |
| 2級 | 片手5指 × 両手の親指+人差し指または中指 × | 両足10指 ×(欠損のみ) |
| 3級 | 片手の親指+人差し指 △× 片手の親指または人差し指を含む3指 △× 片手の親指と人差し指を含む4指 △ | 両足10指 △ |
| 障害手当金 | 片手2指 △× 人差し指 △× 親指 △ 片手3指、または人差し指を含む2指 △ | 片足の親指、または他4指 △× 片足5指 △ |
3.指の障害で1級に該当する場合
1級の基準はシンプルで、両手の10指がすべて使えなくなった場合に1級になります。具体的には次のいずれかです。
“1級に該当するもの”
- 両手の指をすべて欠くもの
- 両手の指の用を全く廃したもの
つまり、両手の指がすべて根元から切断されたか、それに等しいレベルの機能障害であれば1級になります。
ただしこの「全く廃したもの」の定義はやや曖昧です。認定要領にも「指の著しい変形、麻痺による高度の脱力、関節の不良肢位強直、瘢痕による指の埋没又は不良肢位拘縮等により、指があってもそれがないのとほとんど同程度の機能障害」としか説明されていません。
肢体用の診断書も指の動きに特化したものではないため、請求にあたっては診断書等に機能障害の内容を強調してもらう必要があります。
具体的には「麻痺による高度の脱力があり両上肢の10指がすべて不動で、日常生活に全く使用できない」と明記してもらう、といった形です。
4.指の障害で2級に該当する場合
4-1.手指で2級に該当するケース
手指の障害は、「片手の5指がすべて使えなくなった場合」と「両手の親指+人差し指または中指が使えなくなった場合」に2級になります。
“2級に該当するもの(手指)”
- 片手の指をすべて欠くもの
- 両手の親指 + 両手の人差し指か中指を欠くもの
- 片手の指の用を全く廃したもの
- 両手の親指 + 両手の人差し指か中指の用を全く廃したもの
「両手の親指と人差し指(中指)の用を全く廃したもの」だけは基準が別に用意されていて、「親指と人差し指(または中指)が全く使えないため、指同士を対立させて物をつまむことができない程度の機能障害」という定義がされています。
ただし、診断書で左右の「つまむ」が×になっていても、原因が指の機能障害でなければ審査の対象になりません。物をつまめない原因が両手指の機能障害にあることを、診断書に明記してもらう必要があります。
4-2.足指で2級に該当するケース
足指の障害は、両足の10指をすべて欠くものが2級になります。
なお「足指の用を全く廃したもの」という認定基準はありませんので、機能障害では2級になりません。
5.指の障害で3級に該当する場合
3級以下の基準では、「指を欠くもの」や「用を全く廃したもの」まで行かなくても請求ができる場合があります。
5-1.手指で3級に該当するケース
“3級に該当するもの(手指)”
- 片手の親指+人差し指を失ったもの
- 片手の3指を失ったもの(親指または人差し指を含む)
- 片手の4指の用を廃したもの(親指と人差し指を含む)
つまり、指先の骨を半分失ったか、または指の関節(付け根の関節か、付け根に近いほうの関節)が半分しか曲がらなくなった場合に「指の用を廃したもの」に該当します。
5-2.足指で3級に該当するケース
両足の10指の用を廃したものが3級になります。
- 欠損障害:足の親指の末節骨を半分以上失い、その他の指の遠位指節間関節(第一関節)を失ったもの
- 機能障害:中足趾節関節(指の付け根の関節)、または近位指節間関節(第二関節・親指の場合は第一関節)の動きが1/2以下に制限されたもの
6.障害手当金に該当する場合
障害手当金に該当するケースは8種類です。切断の場合は創面(傷口)が治癒した時点から請求が可能になります。
“障害手当金に該当するもの(手指)”
- 親指の「用を廃したもの」
- 人差し指を「失ったもの」
- 2指を「失ったもの」
- 人差し指を含む2指の「用を廃したもの」
- 片手3指の「用を廃したもの」
“障害手当金に該当するもの(足指)”
- 親指を「失ったもの」
- 親指以外の4指を「失ったもの」
- 片足5指の「用を廃したもの」
7.切断の場合は1年6か月待たずに請求できます
原則として初診日から1年6か月経過した日が認定日ですが、1年6か月経過する前に切断した場合は切断日=認定日となります(認定日の特例)。
たとえば事故で指を切断した場合、わざわざ1年6か月待たなくても年金が請求できます。
また、初診日から1年6か月以内に切断した場合は、切断後に年数が経ってから請求する場合でも、切断日時点にさかのぼって請求することができます。
“注意:1年6か月経過後の切断はさかのぼれません”
- 初診日から1年6か月経過した後の切断(例:糖尿病で3年通院した後、壊疽により指を切断したケースなど)は、さかのぼって請求することができません
- その場合は切断した日からの請求となり、請求した翌月分からしか年金はもらえません
8.まとめ
指の障害は用語が多く、認定基準を読み下すのがなかなか困難です。
同じ指切断でも、指先なら「用を廃したもの」、第二関節なら「失ったもの」、根元なら「欠くもの」となり、それぞれ扱いが変わります。
ご自身がどれに当てはまるか判断に迷われたときは、お気軽にご相談ください。ご相談は無料です。
